【バイオリン】バイオリン名曲紹介vol.4 オペラ『セルセ』より「オンブラ・マイ・フ」/F.ヘンデル

皆様こんにちは、バイオリンインストラクターの西尾です。

「名曲紹介」では、「多分有名なはず」「バイオリンを演奏するならこれは知っておいてほしい!」という曲を、独断と偏見と経験と知識による解説を交えつつご紹介してまいります。



vol.4では、弦楽四重奏などでもよく演奏されるヘンデルの癒し系名作「オンブラ・マイ・フ」をご紹介します。

もともとはオペラ『セルセ』の冒頭で歌われる男声曲です。今回動画を取るにあたって歌詞を確認してみたのですが、「(プラタナスの樹よ、)かつてこれほどに優しく愛しく、心地よい木陰はなかった」という短い詩の繰り返しです。短い詩が何度も繰り返されていると、感情の強さのほどを感じますね。メロディにおいても、同じメロディを何回も繰り返すときはエネルギーの充填(クレッシェンドなど)として処理することが多いです。ただ、オペラ『セルセ』のあらすじを読んだとき、「この感動が台無し」と思ったりもしましたが…(笑。ぜひ確認してみてください!)。

器楽曲と声楽曲の奏法については動画の中でうるさく語っているので、バロック音楽とバイオリンの音色についてはここでは割愛いたします。

会員さんとレッスン曲を相談するときによくおすすめするのですが、意外と知らない方が多く、これは改めてご紹介せねばなるまいと思った一曲です。伴奏は淡々とした四分音符が続き、バロック音楽らしくメロディを浮き立たせる編成になっています。伴奏をメトロノームにできるので、リズム感に自信のない方にもおすすめです(笑)。
内容的には初夏、それも5月のイメージ(※1)なのでだいぶ季節を過ぎてしまいました。実は前回上げた葉加瀬さんの『Born to Smile』とあわせて「夏にオススメ!爽やかなバイオリン曲」でご紹介するつもりでした。暖かい木陰は寒い冬にも恋しくなるので、ご寛恕ください…。

さて、バロックなど古い時代の楽譜には強弱記号や曲想指示がほとんどついていないのですが、だからといって曲自体にそういった機微がないわけではありません。とくに、ダンス音楽ではなく器楽曲・歌曲としての特長が強いものにおいては起伏をつけます。
基本的には音符の上下に合わせて、あるいは転調に合わせて強弱をつけることが多いです。
この曲で個人的にポイントにしているのは2ヶ所、転調とサビです。この曲はテーマの変形を5度下で繰り返した後に平行調(※2)のホ短調に転調していますが(動画1'00")、跳躍が長7度上昇とかなりインパクトのある音程間隔になっています。穏やかな木漏れ日のような冒頭部から、感情の高まりを感じるところですね。
サビというとまじめにアナリーゼをしている方に怒られそうですが、曲の後半に出てくる「その曲において最も大切な部分」を、わかりやすいようにサビと紹介しています。この曲においては長調に戻った後の最高音ソで始まるフレーズ(動画1'36")で、一番喜びや愛があふれているところだと感じます。なので、オンブラ・マイ・フにおいては、この2ヶ所がもりあがるように演奏しています。
作曲家からのアプローチが少ない楽譜でも、要点を見つけてそこに向かってクレッシェンド・デクレッシェンド(場合によってはスービト(※3)でも)などをつけるようにすると伝わりやすい演奏になりますよ!

※1)5月のイメージ:プラタナスはちょっとカエデに似た形の緑の葉をつけるどっしりとした落葉樹。なので木陰といえば初夏のイメージで間違いないと思います。
※2)平行調:調号(シャープやフラットの数)が同じ短調と長調の関係を指します。この曲は冒頭がト長調、転調部はホ短調なのでシャープ1個の平行調、ということになります。このように、転調は無軌道にフリーダムに行われるのではなく、音楽理論的に近い調に転じていきます。
※3)スービト(subit/イタリア語):すぐに、の意味。音程が跳躍したときなどはクレッシェンド・デクレッシェンドではなく唐突にボリュームを変化させることもあります。バイオリンなど擦弦楽器においては、弓の急ブレーキなどが必要になるため、さり気なく難易度の高い表現です。

私は、『どこかに』をはじめとしたH.ヘッセの詩を読むときに、この曲がBGMに脳裏に溢れます。木漏れ日の輝かしさや優しさ、涼しい木陰のある暖かな庭への憧憬、そういったものがひしひしと感じられる詩なので、ぜひ一度読んでイメージの足しにしてみてください。



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