15品目 エレキギターの選び方(重量編)

求めている音の方向は結局自身で考えるべし





今回は、14品目の当たりハズレ論で出てきた重量による低音の違いを応用した記事になっています。
「このギター欲しい」と思っているもののいざ弾いてみると「なんか違うな」という経験、あるあるすぎると思います。
自分は「見た目で選べば大丈夫」という派の人間ですが、それでもやはり音の傾向を理解していることは重要です。
シングルコイルでは出ない音もあるし、ハムバッカーでは出ない音もある。
これはもはや当たり前の話ですが、そうではなく、例えば重低音でズンズン言わせたいジャンルなのに、ボディが軽いものを選んで「音ショボい、なぜ?」となってしまう。
この辺りの話は結構無視されがちです。

なので、今回は何種類かのギターのレビューを書いてみたいと思います。
もちろん、自分が思ったことを書いているので、違うな、と思ったら自身で研究してみることを強くオススメします。
レビューの観点は前回の14品目で書いた「鳴りが良いギターは低音が減り、鳴らないギターは低音が出る」の話に通じています。


試奏の環境

【アンプ】Marshall JVM210 × Marshall 1960A

【使用チャンネル】クリーンch 緑

【セッティング】EQすべて11時、リバーブ9時、レゾナンス12時、プレゼンス切、マスターボリューム8時方向

【シールド】モンスターケーブル3m


…ああ、音も聴けるようにしたいですね笑
聴かせることができないのが残念です笑




【Fender Traditional 50s Telecaster】




2021年現行モデル、日本製のテレキャスター。
バスウッドボディ、メイプル指板。
ピックアップは「Vintage-Style Single-Coil Tele」とのこと。
約3.2kgでとにかくボディが軽いです。
軽量なのはバスウッドボディの特徴で、ポリウレタン塗装でも良く鳴っています。
鳴りが欲しい場合はバスウッドはとても良い選択かもしれません。
バスウッドは内部の気泡が多い木材で、ヴィンテージのフェンダーギターにも使われていたり、シグネイチャーモデルであえてのバスウッドなど、安いからと言って侮れない木材です。

さて、なぜレビューの材料にこのテレキャスターを持ってきたかというと、軽量なテレキャスターとして最適な存在だったからです。
このテレキャスターは日本製で丁寧な作りということもあり良く鳴っています。
そしてピックアップ構成、コントロール部もスタンダードで「軽量で良く鳴るスタンダードなテレキャスター」としては申し分ありません。
(当たり個体という意味ではありません)

それでは書いていきましょうか。

まず、音はジャッキジャキですね。
重低音成分はあまり感じません。
バスウッドボディが良く鳴っているからでしょう。
低音成分にマスキングされずに中高音、特に高音成分がよく聴こえます。
EQの設定をミスると観客の耳を傷めそうなので注意が必要ですね。
軽やかな音なので、コーラスやディレイ、リバーブなどのエフェクターの乗りは良いでしょう。
注意点は、低音成分が薄いのでBOSS DS-1などのドンシャリ系の歪みとは相性が悪そうです。
今回はどクリーンで弾いていますが、もし歪ませる時はアンプの歪み、もしくはナチュラルテイストな歪みエフェクターを選んだ方が良さそうです。
また、元々低音を持っていないところにEQなどで低音を盛り盛りと足しても、とても人工的で無機質な音になってしましますので、ほどほどの低音感で音を作ってあげた方がこういうテレキャスターの長所を活かせそうです。




【Squier Classic Vibe 60s Telecaster Thinline】




いやフェンダーちゃうやないか、というツッコミが入ると思いますが、現在当店にフェンダー製のシンラインがありませんでした。
こちらはインドネシア製クラシックヴァイブシリーズの1本。
木材はナトー材です。
なぜシンラインをレビューにチョイスしたかというと、テレキャスターに穴を開けて軽量化したモデルだからです。
上記の軽いテレキャスターと同じような音が出るのかを知りたかったからです。
木材もピックアップも全く別物ですが、一体どうなのか気になります。

弾いてみたのですが、やはり上記のバスウッドテレキャスターと同系統を行く音です。
バスウッドテレキャスターほどジャッキジャキではないですが、低音の成分はあまり濃くないですね。
ぶ厚いポリウレタン塗装であることを考えても、ソリッドボディであればもう少し低音が出るものだと思われます。
テレキャスターシンラインはボディに穴が開いているのでとても良く鳴ります。
そりゃあもうソリッドボディの何十倍も鳴っている事でしょう。
やはり軽量なギターの「弦振動のエネルギーがボディ全体に分散するから低音成分が減る」という現象は疑いようのない事実になりつつあります。
いわゆる「激鳴りギター」というものは「低音が減って中高音寄りになる」という事になるのでしょう。



【HISTORY HTL-Standard Maple/Ash】




最近リニューアルされたヒストリーのテレキャスターです。
アッシュボディ、貼りメイプル指板という仕様。
重量は特別重いわけではなく、約3.5kgで中庸と言えます。
アッシュ材と言ってもこれはライトアッシュ材ですね。
また、ボディ裏にコンター加工があり、重量は少しだけ減っているところもあります。
塗装はポリウレタンとなっており、ラッカーと比較してあまりボディが鳴ならないように設計されています。
果たして低音は聴こえやすいのでしょうか、気になります。

約3.5kgということもあり、ズクズクとまではいきませんが上記2本よりは確実に低音が聴こえます。
もはや木材もメーカーも違うのですが、あまり鳴らないように設計されたテレキャスターの場合はこのような低音感になるのだと推測できます。
試しに同じような重量感のフェンダーのプレイヤーシリーズのテレキャスターを弾いてみると、やっぱり同じような低音感でした。
ヒストリーテレキャスターのブリッジが3駒であることに対して、フェンダープレイヤーテレキャスターは6駒
比較としては全く最適ではありませんが笑
重量は同じぐらいですので、今回の観点で行くと、やはり同じような低音の具合となって安心しました。




一旦、テレキャスターの総評


ストラトキャスターよりもテレキャスターを選んだ理由は、より原始的な構造をしているからです。
ストラトは裏にバネが入っていたり、ブリッジ下部のトレモロブロックの材質、重量などで音が変わってしまったりと、ボディの重量だけで話をするのが非常に難しいからでした。
それに比べてテレキャスターは分かりやすいんですよね。

ちなみに、高音の強さはフェンダーのバスウッドテレキャスターが最もブライトでした。
ブライトな音が出るテレキャスターを探している場合は、軽い木材のものを購入したほうが良さそうです。
例えばカントリーとかは確実に軽いほうが合うと思います。
バスウッドのテレキャスターもそりゃあもう合うと思いますよ。
オーバードライブ的な歪み量であれば、重めのほうが合うとは思いますが、クランチが基本なのでしたら軽いものも全く問題なしです。
しかし、普通に歪ませるならばコシがある重いものが確実に向いていますね。
今回の弾き比べで残念なのが、4kgぐらいの重いテレキャスターがここになかったことです笑
あったらもっと説得力あったのにな、とか思います。





Gibson Custom(shop) Les Paul Custom (2014)




次はレスポールについて書いていこうかと思います。
1本目は2014年製カスタムショップのレスポールカスタムです。
指板はリッチライト(樹脂)、ピックアップは490系、重量は約4.3kgです。
ネックは太くはありません。
細くもなく普通であると感じます。
中古で入荷後、ピックアップ高、弦高などきっちり調整しました。
※現在すでに売却済みのものです。

音はとにかく低音が出ますね。
ピックアップがヴィンテージテイストな57クラシックではなくハイパワーな490系だからでしょうか。
明らかに低音が出ています。
テレキャスターの後だから余計かもしれませんが、いや、これは明らかに低音が出ています。
音作りとしては少し低音ツマミを下げたくなるところですが、全て11時のセッティングを守ります。
低音で中音域がマスキングされています。
高音は良いギターだからでしょうか、聴こえますね。
もし思いくそ歪ませるとするならばドンシャリにして、えぐるようにピッキングしたいですね。
最高だと思います。
重量は約4.3kgなので比較的重めだと思います。
いや、ほんとに音を聴いてほしかったですね笑
やはりレスポールは低音が出るようです。



Gibson Les Paul Classic




約20万円で購入できるギブソンのレスポールです。
この現行クラシックはツマミを引っ張ると色々できる仕様です。
ネックはややスリム、ピックアップはオープンゼブラの57クラシック、ペグはグローヴァー・ロトマチック、重量は約4kg塗装は厚めのラッカーです。
ギブソン特有のココナッツ?な甘い香りがします。
これはケミカル由来なやつなのでしょうか、分かりません笑
ポイントは57クラシックが搭載されている点ですね。
音ヌケが良い素晴らしいハムバッカーです。

早速弾いてみると、おや、低音が……出てるのですが、さっきのレスポールカスタムのせいなのか薄く聴こえます
いや、低音は出ています、しっかり出てます。
軽量なテレキャスターと比べると圧倒的低音感なのですが、さっきのカスタムが濃すぎたようです。
上記のレスポールカスタムの場合は、ピックアップの成分によってもたらされた低音と言えそうです。
それをふまえて聴いてみると、このレスポールクラシックは非常にバランスが良いですね。
低音は充分あるし、中音はパワフル、高音もしっかり聴こえて、とてもカッコイイ音色だと思います。
言うならば「CDで聴いた音」と言いますか、これぞレスポールの音と言っても大丈夫だと思います。
リアはオーバードライブサウンドで弾きたくなります。
しかし、センターポジションやフロントにするとクリーンも最高です。
レスポールのクリーンサウンドはペケペケにならずに重く丸いので、やっぱり一家に一台感は否めません。
レスポールクラシックはコスパ最強ですね、凄いです。
それにしてもバランスが良い音です。




Epihone Les Paul Custom




2020年から通称ファットヘッドに変更され、内部回路も心機一転、劇的に良い音が出るようになったエピフォンのレスポールです。
Made in China、ネックはややスリム、電装系はCTSポット、ピックアップは「Epiphone ProBucker」とのこと。
厚いポリウレタン塗装で重量は約4kg。
ボディの鳴り方はラッカーと比べるとやはり控えめですね。
ということは低音が出やすいのか、気になります。

印象としては、上記レスポールカスタムほど低音が出ていません。
どちらかというとレスポールクラシックと比較した方がいいでしょう。
クラシックと比べるとやはりズンズン感があります。
低音感がハッキリしている感じです。
電装系が劇的に良くなったこともあり、音抜けも良い方です。
中音域もパワフルですが、ハイゲイン仕様のピックアップでは無さそうです。
高音がしっかりと聴こえていて、恐らく57クラシックのような音を目指して作られたのだと思います。
もし目隠しをしたら10万円以下だと気付く人は相当少ないかもしれません。
結構上品なクリーンが聴けます。
しかし辛口で評価するとクラシックと比べたら、人間で例えるなら「マスクをして喋っているような印象」ですかね。
高音のつまみを5mmぐらい上げたいところですが我慢です笑
もしかすると、ポリ塗装がもたらす低音成分でヌケの部分が少しマスキングされているのかもしれません。
こうなってくるとミックスやマスタリングのような話になってきますね。




一旦、レスポールの総評


そうですね、総評とするならば「カスタムショップのやつは低音が濃すぎて比較に向いていなかった」というところでしょうか笑
ピックアップによる低音の違いが顕著でしたね。
ギブソンのレスポールクラシックとエピフォンのレスポールの比較は良かったと思います。
レスポールクラシックのバランスの良さ、エピフォンの驚異的な模造能力、いろいろ知る事ができました。
レスポールは重いものが多いので、今回の記事には最適なギターでした。
やはり低音がよく出ていました。
例えばフェイデット系の塗装が非常に薄いレスポールがあってくれれば、軽いやつのレビューも書けたのにな、という点が心残りです。
しかし、法則としてはかなり信憑性アリなのではないでしょうか。
ズンズンと重い音が欲しい時は、重いレスポールを選ぶとよいかもしれませんね。





次はソリッドではなく、ホロウボディを弾いてみた。





Epihone Shinichi Ubukata ES-355




生形さんモデルのエピフォンバージョンです。
ダイヤモンドFホール、バリトーン・スイッチ、極太のネック、ビグスビーアームが特徴的なセミアコです。
価格は10万円を切っており、本当に信じられないクオリティです。
塗装はポリウレタンで重量も約4.5kgとセミアコとは思えない重さです。
しかし、この重量はビグスビーアームによるものが大きいと思います。
セミアコなのでボディ中央にセンターブロックはあるにしても、両サイドは空洞です。
果たして金属パーツによる重量はどんな影響をもたらすのでしょうか。

おっと、あまりズンズンと来ません。
重低音ではなく、どちらかというと中低音が出ています。
重いので充分な低音感は持っているのですが、レスポールのようなズンズン感はありませんね。
重量でいえばレスポールよりも重いのですが、やはり「ボディが鳴ると低音が減る」という法則がいよいよ正しさを帯びてきました。
ビグスビーアームがもたらす低音は多少はあるものの、ホロウボディの影響が大きいようです。
また、これは重要な点なのですが、決して低音が出なくてスカスカというわけでは無く、ズンズンとした重低音があまり出ていない、という話になります。
最初のバスウッドテレキャスターと比べるととても濃い低音感です。

「ホロウボディは低音が出る」という解釈は間違ってはいないものの、ズンズンとくる重低音の成分ではないことを知っておいたほうがいいかもしれません。
ただ、このギター、見た目がめちゃくちゃカッコイイので気に入ったらその気持ちを優先したほうが絶対いいです。
また、金属パーツによるサステイン、ハムバッカー特有のパンチのある中音成分もバランス良く持っているので、ディストーションサウンドにも最適な1本だと思います。




Epihone Casino




こちらはMade in China、そして2020年以降のモデルでピックアップや電装系が良くなって高音が気持ちよくなりました。
見た目に大きな変更はありません。
カジノはP-90ピックアップを2基搭載したフルアコです。
完全な空洞のボディとなっており、重量は約3kgとかなり軽量です。
塗装はポリウレタンで、ラッカー塗装と比べると木が揺れいにくいです。
なのでラッカー塗装の米国製のヴィンテージカジノや日本製のエリーティストカジノよりも低音は出る印象です。
ちなみに古い日本製のカジノはポリ塗装なので鳴り方は中国製のカジノと似ているかもしれません。
ちなみに韓国製のカジノは中古価格が安いため人気ですが、P-90らしい高音が出ずとても曇っているサウンド、かつネックの握り心地も良いとは言えず、クオリティはあまり高くありません。

さて、フルアコのボディとなればソリッドボディと比べるとホントに馬鹿みたいに鳴ります。
音作りをミスるとハウリングを起こしてしまうぐらいには鳴っているので、今回の検証には最適な存在です。
鳴りまくるボディは結局どんな音の傾向になるのか。

何より中低音がめちゃくちゃ濃いです。
そう、中低音なのでズンズン感は全く来ません。
アコースティックなポコポコとした朴訥(ぼくとつ)なサウンドです。
クリーンはめちゃくちゃ良いです、特にセンターとフロント。
やはり重低音の成分は感じられません。
上記の生形さんモデルよりも中音寄りです。
ただし、ポコポコとした朴訥なサウンド、と書きましたが、中低音は濃いです。
音作りに気を付けないとライブやスタジオではボーカルを食うこと間違いなし、って感じです笑
録音の時は太く甘い音が録れそうなので、ネオソウル系でも人気を博す理由が分かります。







総評:ボディが鳴ると重低音が減り、ボディが鳴らないと重低音が残る



今回は分かりやすかったでしょうか…。
自分的にはいい比較をできたのではないかな、とか思っています。

・気泡が多い軽量な木材、ホロウボディ、薄いラッカー塗装の場合、ボディがよく鳴るのでズンズン成分が減り、アコースティックなポコポコとした音を作りやすい。

・重い木材をポリ塗装でガチガチに固めていると、ボディが鳴らないので振動エネルギーが分散せず、ズンズンとした重低音をアウトプットできる。


という説でした。
これはたぶん、気のせいではなくガチだと思えました。
これでヴィンテージ系の音モダン系の音かを判断しやすくなりますね。
ギターを選ぶときに役立ててもらえれば幸いです。
ありがとうございました!











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