10品目 マーシャルの音作りを極めるには(歴史編)

まずはマーシャル本来の音を知る。






早くも10品目来ましたね!
今回はみんながついついスルーしがちなMarshall(マーシャル)の音作りについて記しておこうと思います。
あくまで主観になりますが、と書いておかないといけない世の中。
しかしこの記事は想像ではなく、実際に体験して書いているので安心して読んで頂ければと思います。





あなたはマーシャルをどこまで語れますか?


まずはマーシャルについて知らないといけない知識があります。
それは「ハードに歪むようになったのはJCM900から」という知識です。
そもそも、じぇ、JCM……なんだって?という方がおられると思うので、少し歴史を書いていこうと思います。


マーシャルアンプの歴史




マーシャルアンプは「ジム・マーシャルさん」が作ったアンプ会社です。
UK(イギリス)の会社です。
ジム・マーシャルは1960年代にフェンダーのベースマンというアンプを基にして「JTM45」というギターアンプを作り上げました。
それをさらに改良したモデルを、今となってはレジェンドである当時若手のジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、ピート・タウンゼント、ジミー・ペイジなどがこぞって使用したことで世界的なブランドに成り上がりました。
現在の我々が共有的に持っている「エレキギターってこんな音よね」というイメージの基礎をマーシャルが作り上げたと言っても過言ではありません。
「歪み」はマーシャルアンプ使用者がもたらしたものであるというのが、ギター業界の通説です。
ただ、ここで勘違いしてはいけないのが、この時代のマーシャルは「本来歪みません」。
いや、厳密には「普通に鳴らしても歪まない」ですね。
この辺は書き始めると本当に長いので後で書くとして、当時UKで活動中の鋭気ビンビンだったレジェンドバンドマンたちが、ギターアンプを爆音で歪ませて使用したらめちゃくちゃカッコイイやないかという現象を発見したんですよね。
それがマーシャルアンプだったというわけです。
ただ、しつこく書きますが、B'zみたいな音ではありません。
もっとクラシックでクランチ的な歪みです。
また、当時は今のような歪みエフェクターも全然ありません。

そうして、ロックという音楽(概念)が人々に刺さり始めてから数年、もっと過激な歪み欲しいっすわというやつらが出現してきます。
それがハードロックです。
この前亡くなってしまったエディ・ヴァンヘイレンなどが代表格です。
本来そこまで歪まないはずのマーシャルアンプを改造しまくって、さらにエフェクターなどを使用してめちゃくちゃ歪んだ音を鳴らし始めました。
もちろん、その前にジミ・ヘンドリックスが表現したマーシャルのオーバードライブサウンドの影響は尋常ではないと思いますが、この辺りからクラシックロック期とハードロック期に分かれるのではないかと思えます。

ハードロック期に発見された激しく歪んだヴァンヘイレンのような音「ブラウンサウンド」をもっと追求して、Soldano(ソルダーノ)、Bogner(ボグナー)などの別のアンプブランドが80年代に台頭してきます。
この辺りのアンプはもうアホほど歪みます。
それこそB'zのような音です。
そして、この頃にはもはやマーシャルは「ぼちぼち歪むクラシカルなアンプ」的な立ち位置になっていました。

そこに登場したのがJCM900(1990年発表)です。
JCM900登場まではJCM800(超名器)というヘヴィーなクランチサウンドを作り出すアンプで戦っていました。
JCM900が登場するまでのマーシャルアンプを現在では「オールドマーシャル」と呼びます。
「JCM800はオールドマーシャルではない」という意見を持っている方も多いかもしれませんが、僕がJCM800の音を実際に鳴らして聴く限り完全にオールドマーシャルの系譜です。
なので、JCM900からがハイゲインマーシャルの始まりであるとここでは定義しておきます。
つまり、JCM800はオールドマーシャル最終形態という事になります。






90年代、JCM900(High Gain Dual Reverb)の登場によりサウンドイメージが大きく変化したマーシャル。
オールドマーシャル期はミドルの塊のようなクリーン~ヘヴィークランチサウンドをアイデンティティとしていましたが、ここでついに「ドンシャリサウンド」を獲得します。
しかし、ドンシャリと言っても現在では当たり前のBOSSのメタルゾーンやメサブギーのレクチファイヤのような音ではありません。
オールドマーシャルと比べればドンシャリであるだけで、やはりヴァンヘイレンが生み出した「ブラウンサウンド」が基本的な概念です。
例えるならJCM800にBOSS DS-1を繋いだような音です。
これをJCM900で獲得したのです。

その後、「JCM2000」が登場します。JCM2000は900をよりドンシャリサウンドに特化させたとも言える内容で、トレブル(高音)が非常にキツいこと、Deepスイッチでエレキベースばりの低音が出ることなどが特徴。
その後、JVM(Jim & Victoria Marshall)、DSL(Dual Super Lead)が登場。
順を追って説明をしていきますが、このJCM900、JCM2000、JVM、DSLはバンドメン必修科目です。
ライブハウス、スタジオでどのマーシャルが置いてあるかというと、大体この内のどれかです。
しかも、モデルごとにイコライザーの効き方が違います。
今回はこのイコライザーの効き方、どのチャンネルにすれば音作りがスムーズなのか、各モデルの長所と短所などを事細かに書きました。

この記事を読んだ後、もう言えない事があります。
それは「マーシャルは使いにくい」です。
各モデルの特性を覚えてから見える世界があります。
なんという使いやすさか、と。
もう早めに書いてしまいますが、マーシャルほど使いやすい真空管アンプはありません。
マーシャルで使いにくいなら、他のブランドのアンプはもっと難しく感じるかもしれません。





マーシャルはなぜ王道になったのか

まず、あまり歪まないオールドマーシャルは玄人向きです。
JCM900以前のオールドマーシャルでB'zのような音を出すには、歪みエフェクターやギターのボリュームコントロールなどの「技」が必要となりますので、はっきり言って扱いは難しいです。
そのため、ライブハウスに置いてあるマーシャルでJCM800が置いてあったりすることは結構レアです。
ライブハウス側は、演者がエフェクターを持っておらずディストーションサウンドが出せない、という状況が起こらないよう配慮してくれているんですね。
対して、JCM900はライブハウスに置いてある率が結構高めなので攻略しておく価値があります。
マーシャルに言える共通点は「ヌケの良さ」だと言えます。
これは、設定を無茶苦茶にすれば当然耳に痛い音になるのですが、理性的な音作りをしていればなんて事はない問題です。
バンドをしている、もしくは経験者の方であれば通じると思うのですが、ギター単体で「かっけぇわ~この音」と思ってドラムとベースと合わせるとモコモコでクソでした、というような体験はあるあるなのではないでしょうか。
このあるあるは、マーシャルであれば解決しやすいです。
ぶっちゃけ、エフェクターを何台も繋いで、持参のプリアンプをリターン挿しして……とかやるよりも、マーシャルのゲインチャンネルを使いこなしたほうがバンドアンサンブルが整いやすいです。
これはガチです。
そしてマーシャルの歪みは、ギターのボリュームコントロールにもフレキシブルに反応してくれるため、簡単にクランチに落とせて非常に使いやすいです。
後で書きますが、JCM2000の場合は耳を刺すような高音が出るもののコツさえ掴めれば意外と簡単に攻略可能です。

メサブギーのレクチファイアとヒュースアンドケトナーのTRIAMPがスタジオにおいてあり、気まぐれで鳴らしてみた時の話。
単体で聴けば低音が太くカッコイイ音なのですが、バンドで合わせるとモコモコになり、メンバーが「早くマーシャルに戻してくれ」と言ってきました笑
自分もそう思っていたので、やっぱりマーシャルって使いやすいんだなと認識した瞬間でした。
これが世界各地で起きているとしたら、スタジオ、ライブハウスの常設アンプを独占することなど当たり前すぎると思えたのです。

つまり、マーシャルのヌケの良さは「バンドアンサンブルに対して丁度いいところ」を突いてきていることになります。
実は以前、自分はOrangeのアンプをメインで使用していました。
マーシャルよりも湿っぽく太く、甘い音で素晴らしいなと感じていましたが、マーシャルの音を改めて聴いたときに「こっちのほうが合ってる」と思ってしまいました。
その後、Orangeのアンプは手放すことになりました笑
これは個人的な話ですが笑
なので「マーシャルとかつまんなくね?」的なスタンスでいるとだいぶ遠回りすることになります。
あと「マーシャルって音悪くね?」というのは、たぶん……それは間違いだと思います。



一旦ここまで。


今回は歴史の説明ですね。
この歴史を知ると、JCM900の使いやすさが身に染みるかと思います。
オールドマーシャルはミドルの塊と覚えておくと理解しやすいかと。
それでは次回に続く!





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