4品目 エレキギターのピックアップ(前編)

車でいうとエンジンです。




こんにちは!
三宮オーパ店の重信です!

重信亭、4品目はエレキギターのピックアップについて。
基本をおさらいして、より深い音作りの世界に踏み込んでみてはいかがでしょうか。
基本的には諸説ありということで荒れないでくださいね。
99%の物理と1%のオカルトが混ざって成り立っているのがエレキギターの音です。
ユーモアを携えてこの記事を読むことをオススメします。


まず、なぜ音が出るのか

エレキギターの構造は約100年前に開発された。
めちゃくちゃかいつまんで説明すると、「ピックアップ」の中には磁石が入っている。それが発生させている磁界の中で磁性体(鉄とか)が動くと電気が発生するよ!という現象を利用している楽器になる。
電池などの電源は不要でいわばタダで発電しているというイメージ(?)
つまり、エレキギターの弦がニッケルメッキを使用しているのはニッケルが磁石によく反応するからということになる。
なのでアコギ用のブロンズ弦をエレキに張ってもうまく拾わず、音が極端に小さくなる。
これは銅は磁石への反応が悪いため。


フロントとリアで音色がなぜ変わるのか

ピックアップセレクターを切り替えるとなぜ音色が変化するのか、という理由が至って単純で面白い。
めちゃくちゃかいつまんで書くと、弦の振幅(弦の揺れ幅)の大小で音色が変わる。

フロント側は弦が大きく揺れ、リア側は細かく小さく揺れる。
これによりフロントはドワンとした音に、リアはカリッとしたシャープな音像としてアウトプットされる。


↓6弦に注目。振幅の様子。フロント側が大きく揺れ、リア側は小さく揺れる。

↑この揺れ幅の差が音色の違いを発生させているということになる。


結局、ピックアップが音色を決めるのか


上記から話は脱線するが、巷では「ピックアップだけが音色を決めている、木材は大して関係ない」という情報が出回っている。
確かにピックアップが音色を決めている比率が大きいが、やはりボディ鳴りやネック鳴りも拾っていることは否定できない。
自身の経験として、Gibson J-160Eというエレキ用のP-90ピックアップが搭載されたアコギにブロンズ弦を張ってみたことがある。
J-160Eはアコギなのにエレキ弦を張らないといけないという珍しい種類である。
うまく音が拾うことができないはずのブロンズ弦を張ってアンプで鳴らしたところ、小さくではあるが音がアウトプットされた。
これはつまり、エレキのピックアップは弦以外の振動の要素の音も拾っていると言えるのではないだろうか。


弦とピックアップの距離(ピックアップ高)でも音色は大きく変わる。
エレキギターの音というのは結局様々な要素が混じりあって出てくる音になる。
高級なギターというのは、ペグ、ナット、ネック材、フレット、ブリッジ、ブリッジサドル、ボディ構造、ボディ材、配線材、コンデンサ、ポット、ジャック、職人の技術、職人のセッティングなどなど……音に影響する様々な箇所に非常にこだわって製作されているため、必然的に値段が高い。
これは料理に似ている。
従って、ピックアップさえ良いものに換えておけば良い音になる、という結論は乱暴な物言いである。


↓てな感じで、各ピックアップの解説に行きます!!↓


シングルコイル編

まず、シングルコイルとはレトロニム(元々その言葉は存在しなかったが後で名付けられた言葉)で、1950年代に「ハムバッカー」が登場したことでそう呼ばれるようになる。

その名の通り、単一のコイル構造を持つピックアップを指す。
後に出てくるGibson P-90もシングルコイル。
従って、Fender社のピックアップを指すものではない。

最大の特徴は高音がよく出る点で、切れ味を求める場合は間違いなくシングルコイルに分がある。
デメリットはノイズが出るという点。これを克服すべく開発されたのがハムバッカーである。
ただし、クリーンやクランチサウンドをメインとする場合、ノイズはさほど気にならない。
むしろちょっとカッコイイぐらいには感じるものの、やはり深く歪ませた際はノイズから逃れられない運命。
どうしてもノイズに拒否反応が出るプレイヤーにはオススメできないが、普通に使用していて難が出るような状況は滅多に訪れないので安心して使用できる。

ちなみに、フェンダー系のシングルコイルは磁界が直線的に伸びているためシャープな音像になる。
対してギブソンのP-90の磁界は扇形に広がっているためレンジが広い音像になる。
分かりやすく例えると、ダイナミックマイクとコンデンサマイクの解釈に似ている。



テレキャスターピックアップ


フロント側がリップスティック型、リア側は金属プレートを下敷きにした独特の構造を持つ。(画像検索推奨)

つまり、構造はストラトピックアップと大きく異なる。
フロントは想像よりもハイがあまり出ない温かみのある音色、リアは内部金属プレートの相乗効果もありバチンとしたハイミドルが強い音色。
ストラトキャスターとは似て非なる構造のため「同じような音が出る」という解釈はよろしくない。
特筆すべき点はフロント+リアのセンター(ミックス)ポジション。
ストラトキャスターと同じ並列配線ではあるが、ストラトのハーフトーンとは全く異なる音色となる。
このセンターポジションでの音色の有無がTLかSTを選ぶかどうかの判断材料となりやすい。
つまり、TLのセンターポジションの音はSTでは出せないので、もしその音が欲しいならTLを選ぶ他ない。
なお、通常の場合センターポジションではハムキャンセル効果は無い。


ストラトキャスターピックアップ


他のギターではあまり見ない3つのピックアップレイアウトが印象的なストラトキャスター。
シラフで見ると非常に珍しいレイアウトをしている。
上記TLピックアップがボディに対して直接的にねじ止めされているのに対して、こちらはピックガード吊り下げ式。
生産効率を上昇させるためにこのような様式となった。(木工部門と電装系部門を完全に分けることができるため)

ルックスの面では、フロントピックアップがTLのリップスティック型ではなく全ポジション同じ形をしたピックアップとなる。
また、ピックアップセレクターの切替は50年代発売当時は3点式で、フロント→センター→リアの単純な切替だった。
後にプレイヤー達の中で隠されたポジションが発見される。(3WAYの間にミックスポジションが存在することが発見される)
これは開発者レオ・フェンダーが狙ったものではなく、偶然の産物であったという。
現在「ハーフトーン」と命名されているポジションになるが、そのべチャッとした独特のサウンドはストラト固有の音色として認知されている。
その後、ストラトのセレクターは5点式がフェンダー社で正式採用されることになる。
また、STピックアップが持っている爽やかな音色とボディ内部に張られたスプリングの残響、重量のあるトレモロブロックの相乗効果による音の伸びから、TLよりもサステインを感じやすい。

裏技的なものを書くと、音作りのコツは、フロントとセンターは同属性、リアは別属性であると脳内で区切るという技。
ゲーム的に例えると、フロント・センターは水属性、リアは火属性であると一旦脳内で分ける。
弦の揺れ幅の関係でフロントとセンターは同じような音が出るが、リアではだいぶ毛色が異なる音が出る。
そのため最初にリアで音作りをしてしまうと別ポジションに切り替えた時に音が破綻しやすい。
まずはフロントかセンターで音を作り、リアはエフェクターなどを用いて低音などのバランスを上手く調整してあげるとピックアップ全ポジションを使用しやすくなる。
(語りきれないので別記事にまとめます)


ジャズマスターピックアップ


ジャズマスターピックアップは、上記のTLとSTよりも甘い音を出すために作られたピックアップになる。
ポイントは上記2つと同じような構造を持っていながら「平べったいきし麺状」になっていることである。
開発者レオ・フェンダー氏いわく「平べったい形であるがゆえに生まれる甘めのサウンド」ということらしい。
前回の「ジャズマスターの真実」でしつこいほどに解説したが、ジャズプレイヤー専用に作られたモデルなので、TLやSTが持つ切れ味のある音色から離れたいというコンセプトとなっている。TL、STよりも確実に甘めであるが、磁界が直線的に伸びていること、シングルコイルであることから基本的にはフェンダーギターらしい切れ味を感じることができる。
また、JMの真実をもうひとつ。
ピックアップの下にはスポンジが敷かれている。
これはピックアップ高の調整用に設置されているが、そこにスポンジがあるということはボディからの振動や反響はスポンジ越しにピックアップに伝わっているということになる。
従って、木材の影響は他のモデルよりも必然的に落ちてしまう。
が、前述の通り絶対的にゼロであるはずもないので、ボディ材の影響は無視できない。

また、センターポジションは並列接続で、TLのセンターと音色が似てはいるものの、両機のピックアップ構造、ブリッジ機構の差異から完全に同一ではない。
ではあるものの、TLの音が好きな奏者はJMの音も好き、JMの奏者はTLの音も好きだという現象はよくある話。(後述のジャガーも入る)



ジャガーピックアップ


フェンダー・ジャガーは「ジャズマスターはフェンダーっぽくない、音が甘すぎる」という意見に対してレオ・フェンダー氏が回答した結果となるモデル。
1962年に発売され、当時のラインナップでは最高級機種として扱われていた。
当時流行していたサーフミュージックなどで頻繁に使用されていた機種で、切れ味の鋭い高音を持つことが特徴。

ジャガーピックアップの特徴は、ピックアップの周囲に取り付けられた「ヨーク」という金属製のフェンスである。
(※画像で分かりにくい場合は画像検索推奨)
これはピックアップパワーの上昇と若干のノイズ耐性を目的としている。
(※大きく上昇するというわけではない)
ボディだけ見ればJMと見た目が似ているが、ピックアップの見た目も音も大きく異なり、ブライトでハリのある中高音が聴ける。
なお、よく勘違いされていることだが、ニルヴァーナの故カート氏はジャガーを使用していたが、彼の愛機にはハイパワーハムバッカーが搭載されていたので、カートサウンドは通常のジャガーピックアップでは絶対に出せない。

基本的には非力というわけではないが、電装系がゴタゴタしていて電気信号が多くのパーツを通過していることからか、TLなどよりも「音の排気量」が少なめに感じる。(※比喩表現)
また、フローティングトレモロ、ショートスケールなどが影響して弦のテンションが緩い。
その結果、ジャガー独特の噛みつき感のあるサウンドがアウトプットされる。



ムスタングピックアップ

中身はなんとストラトキャスターと同じピックアップである。
ピックアップカバーはポールピースが見えないものが採用されている。



総評:内容が煩雑になってスミマセン。

今回はフェンダーのピックアップで一旦区切ります。
長いっ!!笑

しかし、エレキギターは結構「思い込み」「イメージ先行」「勘違い」が多発して、それが流布されているので、改めてこういった資料みたいな記事で勉強するのは大切かもしれません。
日本史、世界史を学びなおす、みたいな感じでしょうか。
でも1%のオカルトを忘れてしまうと、途端におもしろくなくなってしまうものなんですよ。
いつまでも童心でいることは大切かもしれません。

では続きます!!
最後まで読んで頂きありがとうございました。



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