重信亭 3品目 ジャズマスターの真実

ジャズマスターの正しい知識を。



こんにちは!

島村楽器 三宮オーパ店の重信です!
3品目は「かっこいいし欲しいけどよく分からん!」という声が多い、Fender Jazzmasterについて、じっくり解説したいと思います。

このギターは正しい知識を持って、適切なメンテナンスを施せば、鬼のような使いやすさを発揮します。
もうね、鬼ですからね、すごいですよ。

何を隠そう、僕もJAZZMASTER使いの一人。



↓使用者を虜にするJM。TLやSTでは物足りなく感じるというケースもある。



ジャズマスターが生まれた背景

※以下、JM

例えばデニムパンツにも生まれた理由があるように、JMが生まれた理由を説明することには義務を感じる。

まず結論として、JMはジャズ用のソリッドギターとして製作されたモデルです。
これは説ではなく本当の話で、当時のジャズギタリストのためにFender社のレオ・フェンダー氏が設計しました。

ここでまず驚きではないでしょうか。

今や「オルタナやるためのギター」みたいなアンダーグラウンドなイメージが付いていますが、1950年代当時はロックすら黎明期で、一番かっけぇのはジャズマンという世界でした。(諸説あり)

まだJMが誕生する前、1950年半ばに登場したフェンダー社のTLやSTですが、大革命を起こしつつもまだまだ最新鋭すぎて有名ジャズマンには浸透していませんでした。
新しい物って最初はみんな手を付けないんですね…スマホもそうだったように今も大して変わらない。

当時のジャズマン達のイメージを今の日本で例えるなら、フェスとかにも出まくってるバンドのようにみんなが「〇〇さんが使ってるギターかっけぇ…」という憧れの眼差しを受けている人たちです。(諸説あり)

そのジャズマンの中でTL、STを使用している者はあまりおらず、超有名G社のホロウボディ、もしくは最新鋭のソリッドボディであるLPをこぞって使用しているような状況でした。
つまり、フェンダーギターは時代を先取りしすぎてまだ受け入れられていなかったということですね。
よく考えてみると、「ギター=丸いシェイプ」が当たり前の時代にTLやSTなどの流線形のギターが発売されたら、今で言う「ビザールギター」のように見られますわな…。
これは充分想像できます。

また、サウンド面でもフェンダーギターは高音が鋭いので、当時のジャズ界からするとあまり好まれておらず、結局G社のLPを使用するという構図がありました。
かといって、フェンダーギターの音が悪いわけではないので、こればっかりは仕方なし。

悩んだレオ・フェンダー氏は「甘め音が出て、ジャズギタリストが使いやすいと感じるフェンダーギターを作ろう」という結論に至ります。
その結果、1958年に発売されたのが、JMというわけです。




↓ボディシェイプにも全て意味がある。それがフェンダーギターの美学。

↑ピックガードのデザインも非常に秀逸。これが1958年に発売されたことが未だに信じられない。



ジャズマスターの音

普通に弾くとフェンダーギターらしい切れ味を感じます。
特にセンターポジションのピチャピチャとした独特のサウンドはこのギターのアイデンティティと言えるかもしれません。
フロントの音はジャズのマスターというぐらいなのでやはり甘さがあり、かつ切れ味のあるような一言では形容しがたい素晴らしいバランスのサウンドが聴けます。
これはTLでもSTでも出ない音だな、と言い切れます。
もちろんG社の音とも全く違う本当に素晴らしいサウンドを持つギターです。

ただし、現代的なハイゲインはなかなか無理があるのでプレイヤー側が楽器の特性に合わせてあげるほうが得策です。
ちなみにJM発売後に登場したファズとは完璧すぎるぐらいの相性です


「甘めの音が出る」と各所で記載されていますが、本体ボリュームがMAXの場合は結局のところ高音はキツいのでTLのようにジャキっとする、という真実をここに記しておきます。
ただし、TLやSTと比べると確実に甘めではあります。
つまり、頭の中で想像しているような甘めの音を作るには少々工夫が必要であるということになります。
それには各々のスタイルがあり、本体ボリュームを9や8に絞る、トーンを絞るなどが有名。

また、P-90ピックアップが載っていると勘違いしている方も実は多いのです。
P-90は載っていません、ジャズマスターピックアップが載っています。
構造は全然違いますのでご注意を。


↓独特の構造を持つJMPU。甘めの音が出るよう平べったい「きし麺状」に作られている。

↑結局これがJMをJMたらしめるパーツとなる。




みんながつまずくブリッジ機構

まずはこちらの画像をご覧ください。



このフローティングトレモロ・ブリッジの機構は、無対策で弾くと「弦落ち」という症状が発生し、奏者を恐怖させます。
よく「良いJMは弦落ちしない」という言葉で誤魔化されてしまいますが、そうならないようメンテされているから良いJMなので、あれです、マウントというやつですのでスルーでOK。
無対策で挑んだ場合、気持ちが盛り上がると弦落ちしてしまう言わば「盛り上がり禁止令」が発令された状態になるので、なんらかの対策は行った方が楽です。

※弦落ち=ブリッジの駒から弦がズレてチューニングが狂う現象、というか色々終わる現象。

弦落ちは、弦を駒に押し付けるテンションという力が足りないため発生します。
ジャガーも同じく発生します。
これは開発当時はもっと太い弦を張っていたので、現在の10-46などのゲージを張るとテンション不足になってしまう、という説がもっとも有力。
ならばそうならないようにこっちが工夫して上げましょうぜ、相棒のために。


・バズストップバー

めちゃくちゃ簡単に取り付け可能。
テンションの不足を物理的に解消するアイテム。
デメリットとしてJMやJG本来のポワーンとしたリバーブ感を消すことになる。
装着するとブリッジ周辺で発生する「フォーン」というハウリングも解消できるため一石二鳥の素晴らしいアイテム。価格も比較的安価で手に入りやすい。


・ムスタングブリッジ

その名の通りムスタングに取り付けられているブリッジ。
駒に溝がひとつだけなので弦落ちしなくなる。
こちらも超簡単に取り付け可能。
しかしデメリットは大きく、駒ひとつひとつの高さは調整できないため、弦高調整時に難が出る。
これを対策し、溝ひとつ+高さ調整可というフェンダー社以外から出ている駒もあるので非常にオススメ。


・マスタリーブリッジ

弦落ちしないよう溝ひとつ、高さ調整可能にした高級ブリッジ。
見た目が非常に独特なのですぐわかる。
著名な奏者もこぞって使用していることから有名になった。
JMやJGの欠点でもあるサステインの弱さも解消できるのでこちらもオススメ。
デメリットは生音がシャープになるので、必然的に出音も硬質なものに変化する。


・重信の調整

一子相伝の技。
秘伝の技なのでここには書けない。
調整するとJMの調子が良くなる。



こんな感じで弦落ち対策を行うことが出来るので、詳細を調べてみてはどうでしょうか。
画像検索などもオススメです。



「第3の選択」

正直誰でも使いやすいとは言えないし、というか対策が必要な時点でお世辞にも使いやすいとは言えないのが現実。
その事情も含めてアンダーグラウンドというか、表通りを歩くタイプのギターではなかったという流れになるのです。
ですが、現在はかなり流行っており、謎のギターという立ち位置でもなくなっています。
単純にTL、STに次ぐ「第3の選択」として選ばれているのです。

昔に話を戻すと、結局JMはジャズ界にはあまり浸透せず、不人気機種となって製造中止に。
その後、ハードロックやメタルなどが流行していくことになるが、非力なJMやJGは使用されることは少なく、中古でわりと安く買える存在になっていたのだとか。(※当時の貨幣価値から鑑みると決して安いギターとは言えない金額にはなるが)
今となっては100万円ぐらいするヴィンテージもあるのでこの昔話は驚き。

ハードロックやメタル流行と同じ時期、ライブハウスで地下活動していたバンドマンたちに愛されていたのがJM、JG。
その後、オルタナの台頭でJMも一気に有名となる。
これが現在のJMのイメージなのですね。





玄人仕様すぎる?プリセットスイッチ。

下記参照のプリセットスイッチは、設置されている場所から見てG社LPのトグルスイッチを意識しているように見えます。
しかし、ギターの本体ボリュームをよく触るようになってからようやく取り付けられた意味が理解できるなど、1958年G社のLPがサンバーストに変わった同じタイミングにしては明らかに早すぎる機能であることがうかがえます。
プリセットスイッチは人類には早すぎたのである。


↓正面左側のホーンにある「プリセットスイッチ」はオンにするとPUがフロントに固定され、VolとToneがダイヤル式のタイプに移行する。

↑本体ボリュームをよく触る奏者には最高の仕様だが、ほとんどの奏者は使用していないという現実。


現在、Instagramなどのジャズ動画ではJMプレイヤーがよく見られます。
人類は60年越しにJMに追いついたのでしょう。
これはジャズに向いているギターであるとようやく発見されたのでしょう。
なんとも壮大なストーリーである。



総評:結婚するつもりで付き合いましょう。

以下、箇条書きにて。

・使いこなすことが前提であるが、ものにすると非常に使いやすく安定したギターとなる。
・ハイゲインは苦手。特にリアPUで攻めるようなパンク系の音はとくに不向きなので他のモデルに任せたほうが良い。
・まずはブリッジ周りの調整、もしくはカスタムが必要である→不良品ではない。
・使用者なら分かる「センターとフロントの使いやすさが異常」。
・バズストップバー賛成派、反対派がある→賛成派は軟派、反対派は硬派という感じ。
・よくリードギター用とかギターボーカル用とかの主張があるが実際はそんな隔たりはない。どちらでも使いやすい。
・メカ好きやバイク好きとJM好きの感覚は似ているかもしれない。
・使用者が言ってしまう「うちの子」→メンテやカスタムを重ねるため愛着が湧く。
・とにかくカッコイイから全て赦せる。


以上、最後までありがとうございました!

パート2ありそうです笑





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